- 「トイ・ストーリー・マニアってただのシューティングゲームでしょ?」
そう思って乗っている方がほとんどだと思います。でも実は、このアトラクションには「なぜ東京ディズニーシーにトイ・ストーリーが存在するのか」「どこからおもちゃサイズになるのか」「アンディが帰ってきたらどうなるのか」という、知ると見え方がまったく変わる緻密な設定が隠されています。
今回はトイ・ストーリー・マニア!のバックグラウンドストーリーから、舞台となる遊園地の誕生秘話、隠し演出まで徹底解説します。
まず知っておくべき「2層構造」の世界観
トイ・ストーリー・マニアを理解する上で最も重要なのが、このアトラクションが「2つの世界観を重ね合わせた構造」になっているという点です。
外から見えるのは「トイビル・トロリーパーク」というニューヨークの古き良き遊園地。しかしウッディの大きな口をくぐった瞬間から、世界は変わります。ゲストはいつのまにかおもちゃサイズに縮んでしまい、舞台は一転して「アンディの部屋のクローゼット」へ。
つまりこのアトラクションは、「20世紀初頭のニューヨーク遊園地」と「トイ・ストーリーの世界」という2つの異なる物語が完璧に融合した、東京ディズニーシーならではの二重構造の体験になっているのです。
トイビル・トロリーパークとは何か?誕生の歴史
トイ・ストーリー・マニアが存在する「トイビル・トロリーパーク」は、東京ディズニーシーのアメリカンウォーターフロントエリアに位置する架空の遊園地です。しかしこの遊園地には、しっかりとした誕生の歴史が設定されています。
時代は20世紀初頭のニューヨーク。当時のニューヨーク都市部では「トイビル・トロリーカンパニー」という会社が路面電車(トロリー)を運営していました。平日は通勤客で賑わうものの、休日になると利用者が激減してしまうのが悩みの種でした。
そこでトロリーカンパニーが考えた大胆な策が、「路面電車の終点に遊園地を作る」というものでした。遊園地に行くために電車に乗ってもらう——いわば「目的地を作ることで乗客を増やす」という発想です。
この施策は見事に成功し、休日も電車に乗る客が増えました。その後、地下鉄の発展によって路面電車が主流ではなくなった1912年現在も、遊園地だけはその名残で運営され続けています。それが「トイビル・トロリーパーク」です。
アトラクション周辺の地面をよく見てみると、かつて路面電車が走っていた線路の跡が残っています。さらに、パーク内には路線図も飾られており、アメリカンウォーターフロントエリアを網羅するように路線が敷かれていたことが読み取れます。ただの床の装飾に見えて、すべてがBGSの一部だったのです。
入口の「ウッディの顔」にはモデルがあった
トイ・ストーリー・マニアの入口といえば、大きなウッディの笑った顔が目印ですよね。あの独特のデザインには、実在するモデルがあります。
トイビル・トロリーパークのデザインは、1903年にニューヨークのコニーアイランドにオープンした実在の遊園地「ルナパーク」にインスパイアされています。ルナパークの入口には大きな顔のアーチがあり、夜のライトアップの雰囲気も含めてトイビル・トロリーパークとそっくりです。
さらに共通点はデザインだけではありません。アメリカンウォーターフロントは1900年代初頭のニューヨークが舞台ですが、ニューヨークのルナパークも1903年に開業しています。そしてルナパークも最寄り駅が地下鉄の終点駅という共通点があります。これはもはや偶然ではなく、意図的にモデルとして選んだことは明らかです。
実はルナパークの写真が、東京ディズニーランドのワールドバザールにある「ペニーアーケード」に飾られているという話もあります。ディズニーランドとディズニーシーをまたぐ隠し要素として、知る人ぞ知るトリビアです。
入口ゲートの「表と裏」に気づいていましたか?
トイビル・トロリーパークの入口ゲートには、気づきにくい仕掛けがあります。
入るときに見えるのは「TOYVILLE TROLLEY PARK」という文字。しかし帰りに振り返ると、ゲートの裏側には「YOU’VE GOT A FRIEND IN TOYVILLE!」という別の文字が書かれています。
日本語にすると「君にはトイビル(トロリーパーク)っていう友達がいるよ」という意味です。もちろんこれは、トイ・ストーリーのテーマソング「You’ve Got a Friend in Me(君はともだち)」を意識したもの。最後の最後まで遊び心が詰まっています。
次回訪れたときは、帰り際にゲートの裏側を振り返ってみてください。
基本のバックグラウンドストーリー
では、アトラクション自体のバックグラウンドストーリーを整理しましょう。
時はある夜のこと。アンディはお母さんに新しいおもちゃ「カーニバルゲームプレイセット」を買ってもらいました。さっそく箱を開けて組み立てを始めたのですが、お母さんから「今日は遅いから早く寝なさい」と言われてしまいます。仕方なく、組み立てかけのおもちゃをベッドの下に入れて寝ることにしました。
するとアンディが寝た後、おもちゃたちが動き始めます。ウッディたちはアンディが留守(就寝中)の間に、カーニバルゲームプレイセットを使ってアンディの部屋をカーニバルの雰囲気に飾り付けたのです。そしてゲスト(人間)を招待しました。
ウッディの大きな口をくぐり抜けると——ゲストはおもちゃのサイズに縮んでしまいます。気づいたときにはすでにアンディのベッドの下、おもちゃたちが作った秘密のカーニバルの世界に迷い込んでいるのです。
アトラクションの乗り場がある場所は、アンディのベッドの下という設定。乗り場に向かうとき、アンディの寝ているベッドが見えるのはそのためです。そして私たちが乗り込むトラムは、おもちゃの世界のコックピット。ここからシューティングゲームが始まります。
「アンディが帰ってくる」というスリリングな設定
このアトラクションに乗るときに意識してほしいのが、「アンディはいつでも目を覚ます可能性がある」という緊張感です。
おもちゃたちにとって、人間に動いているところを見られることは絶対にNGです。ウッディもバズも、人間が来ると即座に「ただのおもちゃ」に戻らなければなりません。
ゲストがシューティングゲームを楽しんでいるその最中、突然「アンディが帰ってきた!」という展開が起きます。これはキャストがゲストに向けて発するセリフであり、公式ブログでもキャストが「おっと!アンディが帰って来たようです」と語っています。この一言で、のんびりゲームを楽しんでいたゲストが一気に緊張感ある逃走劇に変わるのです。
ライドに乗っているとき「急いで!」「早く!」という声が聞こえたら、それはアンディに見つかりそうになっているから。シューティングゲームの裏側に、こんな物語が隠れていたとは——乗るたびに新鮮な緊張感を感じるはずです。
「おもちゃサイズ」の演出が徹底している
ウッディの口をくぐった瞬間からゲストはおもちゃサイズになりますが、その演出の徹底ぶりがすごいのです。
待機列(Qライン)に入ると、周囲のすべてが巨大に感じられます。アンディの部屋の塗り絵やおもちゃ、絵本、クレヨンなど、すべてが人間の身長よりはるかに大きく作られています。これは「ゲストがおもちゃサイズに縮んでいるから、周りのものが大きく見える」という設定の演出です。
Qラインの壁には巨大な絵本のページが飾られており、そこにはトイ・ストーリーのキャラクターたちが描かれています。数字も書かれており、その数字には遊び心あふれる意味が込められているのですが、これは読み解くのが楽しいトリビアのひとつです。
また、Qラインには隠れミッキーも存在します。待機列の壁画をじっくり観察していると、ミッキーの形をした模様が隠れているのを発見できます。待ち時間が長いときこそ、壁をじっくり見る絶好のチャンスです。
シューティングゲームに隠されたキャラクター設定
トイ・ストーリー・マニアのシューティングゲームは全部で5ステージあり、それぞれ担当するキャラクターが異なります。
バズ・ライトイヤーのアストロブラスターでは宇宙を舞台にエイリアンが的として登場。ウッディのカウボーイキャンプでは西部劇の世界でボトルや皿を狙います。グリーン・アーミーメン・ゲームセットでは軍隊テイストの的が登場し、ハム&エッグスのカウンターゲームではハムとエッグヘッドが的に。そしてレックスとトリケラトップスのスピンは恐竜テイストのゲームです。
ただゲームに熱中するだけでなく、各ステージがそれぞれのキャラクターの世界観を丁寧に再現していることを意識すると、5ステージの見え方が変わります。
高得点を狙うなら「的の配置」を知るべき
シューティングゲームとして楽しめるのもトイマニの魅力ですが、ゲームとして奥が深いポイントも解説します。
各ステージには特定の高得点ゾーンが存在します。例えば的を連続で当てると倍率が上がったり、特定の場所に当てると隠れた的が出現したりします。特にウッディのステージでは、一定数の的を割ると「隠しボーナスゾーン」が現れることで知られています。
また、シューターの使い方にもコツがあります。素早く連射するよりも、確実に的に当てる方が得点が高くなる設計になっているため、闇雲に連打するより狙いを定めて撃つ方が結果的に高得点につながります。
毎回乗るたびにどこかが変わっているように感じるのは、各プレイヤーの操作によって的の動きやボーナスの出現が変化するためです。何十回乗っても飽きない理由のひとつです。
東京版だけの「日本限定設定」がある
トイ・ストーリー・マニアはアメリカのディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーとディズニー・ハリウッド・スタジオにも存在しますが、東京版は世界で3番目に作られたもので、東京ディズニーシー版には独自の設定があります。
特に大きな違いが「トイビル・トロリーパーク」というエリア設定の存在です。アメリカ版にはこのような遊園地の設定はなく、東京版だけがアメリカンウォーターフロントの世界観と融合した二重構造の物語になっています。
東京ディズニーシーのアメリカンウォーターフロントは1912年のニューヨークが舞台。そこに路面電車会社が運営する遊園地があり、その目玉アトラクションとしてトイ・ストーリー・マニアが存在する——この設定は東京版オリジナルの世界観です。
また、海に面した場所にある遊園地という立地から、潮風や湿気の影響で建物が傷みやすく、何度も上から塗り直している跡があるという細かいBGSまで設定されています。パーク内の壁の一部に塗り重ねの跡があるように見えるのは、この設定を忠実に再現しているからです。
トイビル・トロリーパークは「ニューヨーク初の自動シューティングギャラリー」
トイ・ストーリー・マニアは、トイビル・トロリーパーク内での「ニューヨーク初の自動シューティングギャラリー」として紹介されています。つまりアトラクション内のシューティングゲームは、遊園地の目玉アトラクションとして設置された最新鋭の設備という位置づけなのです。
1912年のニューヨークという時代背景で考えると、電動で動く自動シューティングギャラリーは当時の最先端技術。これが遊園地にやってきたことで、トイビル・トロリーパークの人気がさらに高まったという設定になっています。
まとめ|トイ・ストーリー・マニアは「知れば知るほど深い」アトラクション
シューティングゲームとして楽しむだけでなく、知っておくべき設定がこんなにも詰まっていたとは驚きではないでしょうか。
- 「20世紀初頭の遊園地」と「トイ・ストーリーの世界」が融合した二重構造
- トイビル・トロリーパークは路面電車会社が集客のために作った遊園地という歴史がある
- 入口のウッディの顔は実在するルナパークをモデルにしている
- 出口ゲートの裏には「YOU’VE GOT A FRIEND IN TOYVILLE!」と書かれている
- アンディが就寝中におもちゃたちが作った秘密のカーニバルに招待されるという設定
- 乗り場はアンディのベッドの下という設定
- 「アンディが帰ってきた!」という緊張感ある展開がある
- Qラインはすべてがおもちゃサイズの世界観で統一されている
- 地面の線路跡や路線図など、路面電車時代の痕跡がエリア内に残っている
- 東京版だけがトイビル・トロリーパークという遊園地の設定を持つ
次に乗るときは、ウッディの口をくぐる瞬間から「自分はおもちゃサイズになった」という気持ちで体験してみてください。シューティングゲームの得点より、物語の一部として体験することが、このアトラクションを100倍楽しむ方法です。
そして帰り際には、ゲートの裏側を振り返るのを忘れずに。



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